ヒュージ・リーダーズへのいざない

[重要]ルール変更について

初期ルールの複雑性を回避するための方法(そもそも1点重大な問題があったが)を有志より提案頂いたため、その内容を元にコミュニティにアンケートをとったところ、新ルールを適用することでプレイヤーの体験をより向上させることが期待できた。そのため、ヒュージ・リーダーズ特有の「ゲーム開始時の荒地」に関するルールを変更することにした。以下に変更前と変更後を示す。

変更前

  • ゲーム開始時、各プレイヤーはゲーム外から《荒地》カードをX枚戦場に出す。この方法で戦場に出た荒地が対戦相手のコントロールする呪文や能力によって戦場から離れる場合、代わりにそれを追放し、次の終了ステップの開始時に、そのカードをオーナーのコントロール下でタップ状態で戦場に戻す。

変更後

  • プレイヤーは、統率領域から自分がオーナーである土地をプレイしてもよい。
  • ゲーム開始時、各プレイヤーはゲーム外から荒地カードを4枚、統率領域に置く。これらの荒地カードは拠点として扱う(拠点であることはコピーされず、継続的効果によって上書きされず、コントロール変更効果によって失われない。何らかのマークを荒地カードの表面に示すことを推奨する)。
  • 拠点である土地がいずれかの領域から墓地、手札、ライブラリー、追放領域のいずれかに置かれる場合、代わりに統率領域に置くことを選んでもよい。

この変更によりいくつかの統率者が強化される。わかりやすいところで言えば《ギトラグの怪物》だ。安定した土地供給により弱点を克服出来るが、ほぼすべての呪文が5マナを要求する都合上、勝つためにはいくらか時間が必要であることも分かっている。

コミュニティに混乱を与えた点は申し訳なく思うが、この変更によって、より魅力的なフォーマットとして楽しんでもらえることだろうと思う。また、以下の記事はルール変更前のままだが、近日中に編集を予定している。

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ヒュージ・リーダーズとは

ヒュージ・リーダーズ・フォーマットへようこそ!

突然謎のフォーマットに歓迎されても困惑するばかりなので、まずは概要について説明するぞ。このフォーマットは名前の通り、「タイニー・リーダーズに対抗して……ヒュージ・リーダーズ!」という全裸中年男性テンプレートを元に適当に考えた一言が思いのほか洞察が進んでしまったために爆誕した謎のフォーマット……と思っていたのだが、なんと既に外人兄貴がこのフォーマットを提唱していたのだ。いやーすでに誰かが考え付いているなら仕方ないね!解散!としても面白くないので、せっかくだからとりあえず現状についてまとめて、その結果生まれそうなメタ・ゲームについて軽く紹介していきたい。

特別ルール

以下にこのフォーマットで適用される特別なルールを記す。統率者に関するルールなど、特に記載がない箇所は通常の統率者戦と変わらない。なお、このフォーマットは多人数戦を想定しているが、2人対戦でも問題はない。特徴的な箇所についてはアクセントを入れた。

構築ルール

  • 統率者として点数で見たマナ・コストが5以上の伝説のクリーチャーか、統率者に指定することが出来るプレインズウォーカー・カードを1枚選ぶ。共闘を持つ伝説のクリーチャー・カードあるいはプレインズウォーカー・カードを2枚用いることもできるが、その際はそれぞれの点数で見たマナ・コストが5以上でなくてはならない。
  • 統率者の固有色ルールに従い、ハイランダー構成で点数で見たマナ・コストが5以上であるか土地であるカードのみを用いてデッキを構築する。デッキの枚数は統率者と合わせて50枚で構築する。

ゲームルール

  • プレイヤーの開始時のライフの総量は25点である。
  • 統率者ダメージのルールは適用しない。
  • ゲーム開始時、各プレイヤーはゲーム外から《荒地》カードを4枚戦場に出す。この方法で戦場に出た荒地が対戦相手のコントロールする呪文や能力によって戦場から離れる場合、代わりにそれを追放し、次の終了ステップの開始時に、そのカードをオーナーのコントロール下でタップ状態で戦場に戻す。(このルールは旧ルールです。変更後のルールはページ上部を確認してください。)

使用カード

  • 統率者戦での禁止カードはすべて禁止とする。
  • 点数で見たマナ・コストが4以下の、土地でないすべてのカードは禁止とする。

概ねタイニー・リーダーズと同様だが、特徴的なものとしてはゲームルールの項、最後の特別ルールが挙げられる。このルールを制定するに至った思考プロセスについては次項で説明する。

ゲー「無」を避ける

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「無とはいったい・・・うごごご!」

使用カードの項で挙げた禁止カードがすべて適用されただけのハイランダー・フォーマットの世界では、最短4ターンの間、土地を置き続けるだけのターンからゲームがスタートする。サイクリングや想起、親和といった軽いコストで行動する例外はあれど、60枚構築でさえ常に土地事故と戦い続ける我々の感覚として4ターンの間土地を澱みなく置き続けることの難しさはなんとなく感じて頂けるかと思う。このフォーマットを遊べるレベルまで昇華させるためには何らかのテコ入れが必要となることは明らかだった。

考えた候補が以下だ。

  • ゲーム開始時、各プレイヤーはゲーム外から《ダークスティールの城塞》をX枚戦場に置いてスタートする。
  • ゲーム開始時、各プレイヤーはゲーム外から破壊不能を持つ好きな基本土地をX枚置いてスタートする。
  • ゲーム開始時、各プレイヤーは順番に手札から任意の枚数のカードを追放しても良い。そうした場合、各プレイヤーは、この方法で自分が追放したカード1枚につき荒地・土地・トークンを1個生成する。
  • すべての呪文は、それを唱えるためのコストがX少なくなる。
  • ゲーム開始時、各プレイヤーはゲーム外から《荒地》カードをX枚戦場に出す。この方法で戦場に出た荒地が対戦相手のコントロールする呪文や能力によって戦場から離れる場合、代わりにそれを追放し、次の終了ステップの開始時に、そのカードをオーナーのコントロール下でタップ状態で戦場に戻す。
  • ゲーム開始時、各プレイヤーは「あなたのアンタップステップの開始時、あなたがコントロールするすべての土地・トークンを追放する。その後、「この土地を生け贄に捧げる:◇を加える。」を持つ土地・トークンをX個生成する。」を持つ紋章を得る。

どれもゲームを行えるように修正は出来るが、いずれも悪用される恐れがあった。破壊不能を持つとしても、生け贄に捧げるような手段(《死の雲》など)から遠ざける手段としては不十分だということもわかっていた。シンプルなものにするにはゲーム開始時に何らかの超法規的措置が働いている土地が戦場にある状態にしたかった。

トークンを用いる方法や、紋章を用いる方法を考えたが、紋章は位相を持たず、トークンは《倍増の季節》などのカードで増えてしまう危険性がある。複雑になってしまったが、最も安全にゲームをするために以下を選んだ。

  • ゲーム開始時、各プレイヤーはゲーム外から《荒地》カードをX枚戦場に出す。この方法で戦場に出た荒地が対戦相手のコントロールする呪文や能力によって戦場から離れる場合、代わりにそれを追放し、次の終了ステップの開始時に、そのカードをオーナーのコントロール下でタップ状態で戦場に戻す。

自身の呪文や能力でも"復活"しないようにした理由は上陸などとのシナジーを考慮したためである。後は何枚戦場にある状態でゲームを開始すべきかだが、これは各プレイヤーが自分のターンに来た時に土地を置くことで問題なく呪文をプレイできるようになるための4枚が最適だろうという結論に至った。

コンボ!コンボ!コンボ!

統率者といえばコンボ。コンボと言えば…まあその限りではない。なんにせよ、ライフ25点を3人分、戦闘ダメージのみで削るような戦術はそれなりに無謀とも言えるのは本家統率者戦とそれなりに近い。我々は「数枚でゲームに勝利できるコンボ」に常日頃飢えているはずだろう?

 

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ではどんなコンボが組めるか?分かりやすい例で言えば『《鏡割りのキキジキ》+《士気溢れる徴集兵》』なんかは両方とも5マナだ!キキジキを統率者に指定すると、2ターン後にコンボを決めてゲームに勝利!なんてのも可能だ。

 

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そのほか、通常の統率者戦ではどうしても"重さ"が気になるコンボである『《霊体の先達》+《目覚ましヒバリ》(+"生け贄エンジン")』や、毎度お馴染み『《トリスケリオン》+《不浄なる者、ミケウス》』なんかも、5マナ以上のカードが活躍するこのフォーマットでは非常に良く見るコンボになるだろう!

"ヒュージ"の暗黒面に堕ちてもらう

忘れないで欲しいことがある。このフォーマットは土地に関してはハイランダーという制限しか設けていない。統率者戦で使用できる、とある凶悪なカードについても。

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ヤバい(確信)

《Bazaar of Baghdad》だ。組み合わせるリアニメイト・カードとしては、《生ける屍》や《掘葬の儀式》も5マナ。Wizards of the Coastはこのフォーマットの成立を想定していた…?

なんにせよ、5マナ以上ともなると様々な「なんだお前」なカードが飛び交うことが予想される。統率者戦では味わうことが稀なこのフォーマット特有の歪み―――いわば暗黒面について、ここではフォーマットを定義づける重要なカードを紹介する。

墓地対策

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《ボジューカの沼》《屍肉あさりの地》《不思議のバザール》《時のらせん》

既に気づいているかと思うが、大体の「対策カード」という位置にあるカードはマナコストが非常に低いのだ。墓地対策においては定番となっている《安らかなる眠り》《虚空の力線》などは4マナ以下。何かを対策するにしても容赦なく5マナを要求されることから、変に対策を考えるより突っ走るデッキを組んだほうが良いことが多いだろう。

だが、《Bazaar of Baghdad》のヤバさを考えると、このフォーマットで最も早くて強い動きが墓地に依存することはほぼ間違いない。前者2枚だけでも可能であれば採用したいね。

ピッチカウンター

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《意思の力》《誤った指図》《徴用》《この世界にあらず》

打ち消しも5マナ以上。当然ながら、打ち消し用の5マナを構えて次にターンを回す…なんて動きはこの動いたもん勝ちな環境では出来れば避けたいね。

中でも《徴用》はマナ・コストが高いカードが飛び交うこの環境ではとてもクールだ!

ピックアップ

ここからはこのフォーマットにおいて興味深いカードだ。

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《エルフの逸脱者》

ゲーム開始時に4枚の《荒地》…これはつまり、2番手、3番手、4番手は自分のターンを迎える前に無色4マナを何らかのコストに支払うことができることを意味する、という点に気づいただろうか?サイクリングはこの「無料の4マナ」を有効利用する手段としては最も強力である。《エルフの逸脱者》はそんなサイクリング軍団の中でも、マナ加速になる。緑色のデッキならぜひ採用を検討したいね。

 

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《自然の反乱》

《大修道士、エリシュ・ノーン》と組み合わせると、相手の土地が二度と起動できなくなる恐ろしいコンボだ。統率者戦でも《Living Plane》と組み合わせるなどで同様のコンボは実現できるか、あちらは《魔力の墓所》などからマナを確保できるのに対し、こちらは決まると二度と土地からマナを生みだせない。最も好きなのは、《Living Plane》に比べて《自然の反乱》が安いことだ!これはとても大きい!

 

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《永遠衆、ネヘブ》

5マナ以上のカードを1ターンに2回プレイすることは普通は困難だが、このカードはそれを簡単に出来る上に、統率者に指定することが出来る。また勝ち手段でもある《追い討ち》とのコンボは健在だ。素晴らしい!見つけたら全力で除去しよう。

 

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《金粉の水蓮》

マナ加速の大半は4マナ以下だ。このルールで最初に得られるマナは無色4点だから、ダブルシンボル以上のカードを使用するためにはある程度の土地が必要になる。それを打ち破るカードがこれだ。

 

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《新たな視点》

サイクリングは(そのカード自身が5マナ以上なら)軽いコストで起動できる。他にもフラッシュバック、想起、探査、親和、召集、疾駆…といった、マナ・コストを低くしたり、代替コストを用いる方法はあるが、その中でも非常にぶっ飛んでいるであろうカードがこれになるだろう。

 

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《悪魔王ベルゼンロック》

出た瞬間ライブラリが空になる。なんだお前。

ヒュージな世界を楽しもう

異常以上、ヒュージ・リーダーズについての紹介だ。時間の都合上サンプルデッキはまた別の機会に紹介するが、皆もこの「なんかできそうでなんもできない」もどかしいフォーマットを是非楽しんでほしい!また、「こんな最初のマナ加速ルールを考えてみたけどどう?」「オススメの統率者は?」「このカードはヤバい」「ハヤバイ」など、色んな考えと色んな人が居るだろう。ぜひTwitterにて声をかけてみてくれ!

良いヒュージ・リーダーズ・ライフを!